がん宣告(1)

はじまりは一通の郵便物。それは6月3日に受けた健康診断の結果でした。

結果は便潜血で要大腸精密検査!!大腸の内視鏡検査が必要らしい。

便潜血というと大腸がんの疑いがあります。ほかにもポリープ、痔など急を要することのないものもあります。

この時点では便潜血でどんな可能性があるのか全く分かっていませんでした。

要精密検査という結果は初めてでして、時間もとれそうなので早々に即精密検査(大腸内視鏡検査)の予約をすることにしました。健康診断を受けた聖隷サポートセンターに電話してみると、

「健康診断の便潜血で精密検査ですね~」

と軽やかにみなまで言うなという感じの勢いで話はとんとん拍子に進みます。さすが健康診断を実施した病院です。受診側としては説明の必要がなくてありがたいです。内視鏡検査は水曜日か木曜日に行っていて、予約状況から最速で再来週の水曜日7月15日の予約が可能とのこと。

本当はもっと早くに検査を受けたいところですが、予約がいっぱいでは仕方がないので7月15日に予約をいれると後日案内を郵送してもらえるということで予約完了。

2,3日後に二錠の下剤が添付されたお手紙がとどきました。

  • 3日前から食事制限(乳製品、柑橘類、きのこ類、海藻類禁止)。
  • 水分を多くとるように。
  • 前日の夜は19時までに消化の良い食事をすませ、21時に下剤を飲む。
  • 当日は食事をせずに8時半に来院するように。

と記載されていました。

指示通りにやってみると、食事制限は意外と面倒くさいことを初めて知りました。

好き嫌いだったり、病気やアレルギーで食べ物に制限があるというのはこれほど大変なことだとは思いもしませんでした。新たな発見でした。

そして、当日病院へ行くと

  1. 大腸内視鏡検査について(検査にもリスクがあります)。
  2. ポリープなどがあった場合も処置はしないので別の病院への紹介となります。(再度同じ検査が必要になる可能性があります。)
  3. 起こりうる偶発症について。(予期せぬ出血などが起こる可能性があります。全力で処置します。)

という3点について念押しされ同意書へのサインを求められました。

折角予約して、食事制限までしてきたのでやめる気はありません。

そんなに問題があるとも思っていないのでさっさと検査を終わらせてすっきりしたいということで同意しサインしました。

さて、ここから検査です。

手順としては、腸の洗浄をおこなって内視鏡を入れての検査

1.腸の洗浄

腸の洗浄は約2リットルの洗浄薬を飲み肛門から出すことの繰り返しです。10分にコップ1杯のペースで洗浄薬をのみ、足踏みや骨盤旋回などの運動をして腸を動かします。

およそ1リットルを飲み1時間ほど経過したところで便意が・・・

トイレで用をたして看護師さんを呼び便の確認をします。便の状態は5段階にわけられており固形物が混ざった状態から最終段階の黄色い水のみになるまで飲んでは出すの繰り返しです。

最初の便意からはおよそ10分ごとに一回の便意があり、その都度少しずつ最終段階に近づいていきました。その間も洗浄薬を飲み続け9回目の排便で看護師さんからOKをもらえました。

しかし、最終的には12回トイレに行きました。

水のような便を出し続けると想像の通り肛門がひりひりして痛いのなんの。なかなか厳しいです。そして、この洗浄薬のまずいことまずいこと。よく二リットルも飲めたものだと感心します。この洗浄薬は体に吸収されないものだそうで、二リットルも飲んでいるのに

「脱水症状になるので水分を補給してください。」

と言われました。違和感ありすぎです。

2.内視鏡検査

洗浄が完了すると内視鏡検査の順番待ちです。

おしりの方に穴が開いている紙パンツをはき、検査着をきて待機します。

腸の動きを抑える薬を注射し、いよいよ検査開始。検査台に左を下にして横向きに寝ます。

肛門にゼリーを塗りますが、すでに肛門がヒリヒリしているのでこれまた痛いのです。

少し中の方まで指を突っ込みぐりっとゼリーを塗りそこに内視鏡カメラをするするっと入れます。他人にけつの穴をさらすのは恥ずかしいなぁと思っていましたが、横になってからカメラが入るまであっという間でした。余計なことを考えるひまはないほど早業です。

カメラを入れること自体の痛みは全くありません。入るところからカメラの状況が画面に映し出されています。ほかに見るものもないし、けつからカメラをいれられぐりぐりされているのに看護師さんと顔を合わせるのもなにか気まずいしじっとカメラの映像をみていました。カメラが入るとすぐにちらっとできもののようなものが映りました。よくテレビで見るポリープというやつだと思いました。検査はまずカメラを大腸の一番奥(盲腸付近)まで入れ、そこからカメラを引き抜きながら徐々に確認していきます。途中まで入ったところで姿勢を仰向けにかえてさらに進みます。痛みもないしたいした違和感もありません。

一番奥まで到達し、先生が映し出された映像を解説しながら徐々に引き抜いていきます。腸の中はピンク色で意外ときれいです。(うんちがなければ。)最初に見えたのが ”大腸憩室” というもの。他から引っ張られたりしてくぼみのようなものができていることを言うのだそうです。そのくぼみに便などがたまり流れなくなると菌が発生してしまうこともあるそうですが、ほとんどの場合はあっても特に問題はないそうです。

そして次に見えたものがぽっこりとした塊のようなもの。

「言いにくいんですが、これはがんですね。」

とあっさりがん宣告!

「ほほー」としか返す言葉はありませんでした。

「切ってとることになりますね!取れば完治するレベルのものだと思うので大丈夫ですよ。」

と淡々とはなしながら作業は進みます。

薬をピュッっとかけて、はさみのようなものを挿入して生検用の組織採取。特に痛みもなにもなく二か所ほどつまんで組織をとっていました。

ずーっともどって、また元の横向きの姿勢になります。そして、次に見えたのが入れるときに最初にみえたポリープです。2つありました。これはがんではないそうです。しかし、いずれ取ることになるけれどまずはがんの方の切除が先だそうです。そりゃそうだ!

検査が終わって先生からの説明です。

治療してくれる病院を紹介するので、そちらでCTとかほかの検査をして治療方針を決めることになります。どこの病院がいいですかね?総合病院など大きな病院になると思いますが。

ってことで、自宅近くの総合病院の紹介状をもらうことにしました。

「昨年足の指にできた腫瘍(これは悪性ではなかった)の時にはその総合病院からがんセンターへ回されたのだけど。。。」

と先生に聞いてみると、

「軟部腫瘍のようなレアな腫瘍の場合にはそうなるかもしれないが、大腸がんのようなメジャーながんの処置は大きな病院ならそこで処置すると思いますよ。」

という回答でした。

今回発見された腫瘍は上行結腸という部分にあるそうで、4㎝程度の大きさだそうです。

ここまでの成長には1年程度はかかっているのではないだろうか?との見立てでしたが、がんが少し大きくなり、便が通過するときにこすれることで血が混じらないと発見はなかなか難しいそうです。今回、このタイミングで見つかったのはそれでもまだよかったのかもしれないと思います。

「このくらいの状況だと、転移などは検査しなければならないけれどもおそらく外科手術で完治できるものだと思いますよ。」

とのことで絶望的なものではなさそうです。

テレビのドラマなどとは違いあっさりとがんの映像を見ながら告知をうけたのですが、とりたてショックという感じもなく「へーそうなんですか。」という感じでした。「家族を呼んでください。」とかそういった深刻なくだりがないので盛り上がりもないなぁと思いましたが、どう反応してよいものかわかりません。

完治するでしょうということだしなんとかなるでしょう。

とはいえ、結構な病気なのでここで思ったのは

  • かみさんには面倒をかけることになるなぁ。
  • 夏休みの旅行は行けるかなぁ。検査や治療を先延ばしするのはまずそうだし・・・
  • 仕事はどうするかなぁ。これから新しいことを始めようってときにこれはまいったなぁ。
  • まてよ、健康保険の切り替えが発生してタイミング的に微妙だなぁ
  • がん保険はおりるよなぁ。がん保険入っててよかった!あ、保険の支払免除になるかも!
  • でも7月に支払う分は間に合わないか・・・
  • 住宅ローンも疾病で支払不要になるものだったらよかったのになぁ
  • バーベキューの計画は延期だな。とてもそんなことやってる場合じゃないし。

などなど考えておりました。

検査がおわって、ウォシュレットでけつを洗い、着替えて待機していたら看護師さんがやってきて血圧の測定です。上も下も高目です。動揺しているのだろうか?

水分、糖分補給ができていないはずなので水を飲むようにすすめられ、紅茶をのみ、あめをなめました。

koutya

検査で腸内に空気をいれているのでガスがでると楽になりますよ!と言われたのですが、ガスの出が不十分なのか思いのほかおなかが痛いのでしばらくよこにならせてもらいました。しばらくするとガスがぶりぶり出ておなかも楽になりました。その間は携帯で大腸がんについて検索してました。やはり気にはなりますね。

また看護師さんがやってきて事後の説明がありました。

1日は刺激の強いものは食べないように。また風呂はシャワーのみにするようにと指示がありました。そして、紹介状と予約のお話がありました。

「総合病院の予約は今回の検査で採取した組織の検査結果と紹介状をもって行くことができる日程にします。」

ということで、検査結果が出る2週間後以降の予約です。若い人のがんは進行が速いといいます。がんと聞いてあまり先に延ばすのは怖いのでなるべく早く治療を開始したいので、10日より前で予約をお願いしました。

検査結果の紙をもらい受付へ移動しました。そして8月6日に予約が取れました。ということで予約の紙と紹介状をもらいお会計です。生検の結果は後日自宅へ郵送されるとのこと。

8月4日~8月6日で家族旅行に行く予定でしたが、

「がんの治療を後回しにするのはまずそうなので家族には少し我慢してもらって3日の旅行を2日に短縮してもらうしかないなぁ」

などと考えながら、お会計10,640円です。

高い!!しかし仕方がないので支払を済ませて駐車券をもらい病院をあとにしました。

8時半に受付して終了は13時半を過ぎていました。

駐車料金2200円!!これまた高い!駐車券もらわなかったらえらいことだ。駐車券を挿入して無事料金0円になり駐車場をでました。

再来週から予定ぎっしりで忙しいのに、そこに治療がかさなってきてどうなっちゃうのかなぁ。健康保険の切り替えもしないとならないし、がん保険の申請もしないとならない。

などと考えながらコメダ珈琲で消化のよさそうなサンドイッチと我慢していたコーヒーを注文し、検査結果の紙をもう一度眺めながらすこし遅めの食事をとりました。おなかをぐりぐりやっているので食べれないかと思いきや、意外と軽く食べきることができました。

ま、なるようにしかならないだろうと思いお会計1040円です。

イエローハットで車の芳香剤(ファブリーズ)を購入し、100均で子供用のご褒美シールを購入し、シャトレーゼでアイスを購入して帰宅。

かみさんと母親に、検査の結果大腸がんが見つかったと報告。家族旅行を短縮してもらうように調整をお願いして一件落着?です。

再来週からハードなスケジュールになるなぁ(かみさんが・・・)

ここから大腸がん治療スタートとなります。よろしくお願いします。

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