手術から約ひと月(正確にはあと4日ですが)経過し、退院後最初の診察日がやってきました。初回診察では手術で切除した大腸の病理検査の結果が出て進行度などなどと今後の方針が決定する予定です。状況によっては抗がん剤治療が必要になるかもしれません。
12:30の予約なので家を10:20頃出発。下道で移動して病院の近くのサイゼリヤでランチです。ここ二日ほどは少々下痢気味なのでおなかに優しそうなものを、と思ってドリアを食べました。(ドリアがおなかに優しいかはわかりませんが・・・)
さて、予定通りの時間に診察室に入ると病理検査の結果を聞きます。
摘出した大腸の写真を見せてもらいました。摘出したての血のにじむ状態での写真、ホルマリンにつけて固定したもの、病理検査でがん細胞がどこにあったか書き加えたものを見せてもらいました。折角なのでその写真をもらえないものかと思ったのですが、普通はもらうようなものじゃないだろうという抵抗感もありお願いはできませんでした。
写真をみてもどのような見立てになるのかはわからないので解説をしてもらうと、内容は以下の通りです。
小腸の都合のいいところからがんのあるところから10cmほど先まで合計30cm程度の大腸をつながっているリンパとともに切り取りました。がんは大腸の腸壁までは達しておらず固有筋層まででとどまっていました。そして事前のCTではリンパが少し腫れているように見えるのでリンパへの転移がありそうだとの見立てでしたが、摘出した54個のリンパを調べてがんの転移は0ということで転移ありませんでした。従って、ステージは2ということで確定です。事前の見立てでは3は間違いないだろうと思っていたのでステージ2というのはとてもラッキーな気分です。
リンパ液と血液の検査の結果でリンパ液は問題なし。ただ、血液の中にがんが検出されたそうです。再発リスクとしてはこの1つだけだそうです。
昨年(2014年)から、ステージ2でも再発リスクが高い人に対して抗がん剤治療を行い成績をみる検証を行っているそうです。それ以前はステージ2の場合には抗がん剤治療はなし、ステージ3以降では抗がん剤治療を行うという方針だったそうです。
私の場合は血液中にがんがみられたということで
「高リスクに分類されるので抗がん剤治療どうしますか?」
と聞かれました。と言われましても、こちらは素人。ステージ3なら抗がん剤治療はするんだろうなと思いながら来たのにステージ2と言われ、去年からステージ2でも高リスクの人には抗がん剤の治療をするようになってきたんです。って言われてどうするか。。。。
「抗がん剤治療はどんな感じの治療になるのでしょうか?」
「ステージ2の高リスク者への抗がん剤治療は3か月コースと6か月コースがあって、ランダムにどちらかに振り分けられます。選べません。3~4週間に1回程度のペースで抗がん剤をいれます。点滴による抗がん剤と、飲み薬の抗がん剤を使用します。」
ちらっと先生の持っている紙をみると、大腸がんのブログをみているとよく出てくるおなじみの抗がん剤のようです。
「副作用としては、指先のしびれがでることが多く指先に一枚皮がかぶったような感覚になり指先の感覚がにぶくなります。これは抗がん剤を終了した後数か月で消える人もいればずっと残る人もいます。あとは下痢や食欲不振などがでる人もいます。副作用は人によって出方が違って、副作用がきつくて薬を途中で減らさなければならない人もいますし、なんともない人もいます。」
結局患者側はやるかやらないかを選べるけれど、やる場合には使用する薬も期間も選べないということです。
「抗がん剤の効果ですが、ステージ2で手術のみの場合5年生存率はおよそ80%です。アメリカでは手術の成績が日本より少し悪くて75%程度です。アメリカでは抗がん剤をよく使い約10%ほど5年生存率が上がるという結果がでています。日本ではそもそもの5年生存率が高いので抗がん剤を使ってあがるのは7%程度で10%に満たないという結果になりそうです。10%としても100人中10人が抗がん剤の恩恵を受るということで90人の人は抗がん剤の有無は関係ないということになります。」
「今回の結果をみると血液中でがんが検出されましたが、比較的よくあることです。検出されたからと言ってかならずがんになるわけでもありません。がん細胞を検査しても特別悪性度がたかいというようにも見えません。ごく普通の大腸がんです。なので副作用のことを考えても抗がん剤治療をがんばってやらなくてもいいのではないでしょうか?今後5年間は転移がないか検査を行っていきます。転移が見つかったとしてもまた手術して取ることができれば対処できます。転移の多くは2~3年以内に発生することが多いので、3か月から6か月間隔で検査していれば手術して取ることができない転移となることはそうそうないので、再発したら手術するという方針でいいのでは?」
というアドバイスをもらいました。
抗がん剤は結構ヘビーな副作用がでる可能性があります。自分は副作用がないはずだ。などという根拠のない自信もありません。指先のしびれが出て、それが残るというのは非常につらそうです。自分が効果がある10%に含まれるのかと考えると微妙です。
ステージ3だったら抗がん剤も仕方ないかと思いますがステージ2だったということなのでちゃんと検査を続けてもし転移、再発したら切って取る。という方針にすることにしました。
「抗がん剤はやらないということにします。」
ということで決定しました。
もし再発したら切ればいい。再発もしないに違いない。と思うことにしました。
その他の制約を聞くと、
「特にありません。食事は徐々にならしてください。腹筋を使うのはしばらく控えてください。」
だけです。
「肉や油などを食べない方がいいという話も聞きますがどうでしょう?」
「確かに油などはがんの発生率が上がるということも言われていますが、上がる率はほんのわずかです。それに縛られて窮屈に生活するよりも気にせず制約なく過ごした方がいいとおもいます。」
なるほど同感だと思いました。
大腸がんを経験した方の中には食事療法を採用してかなりの食事制限をしている方がいます。しかし、確かに体に悪いといわれるものもあると思いますが、私は少々の毒は食べるのもありだと思います。程度の問題ではないかと思うのです。肉は体に悪いから一切食べないとか、油はよくないから微量でも口にしないとか。極端なことはかえって体に良くないのではないかと思うのです。微量でも口にすると体調を崩すとか、アレルギーが出るとか症状があるのであれば別ですが、がんのリスクがあるなどと言っていたら食べるものがなくなります。そして栄養もかたよります。さらにはストレスもたまります。そして食べ物を分別したり調達したり調理したりする時間もロスします。いいことは少ない気がします。食べるものでも、空気でも環境でも、体によくないと言われるものも込みでバランスよく過ごすことで正常な状態を保っているのではないかと思います。雑な人間だからかもしれませんが、私はそう思います。
ですから、今後食べすぎや飲みすぎ、偏った食事にならないように注意はしますが体に悪いからこれは食べないとか同じものばかりなどという制限はするつもりがありません。肉も油も野菜も魚もみんな適度にバランスよく食べるようにしたいと思います。そもそも好き嫌いはほぼないので今までもなんでも食べていたと思います。ただ、食べすぎはあったのでそれだけは気を付けたいと思います。
ということで治療もこれでおしまい。次に消化器内科で抗がん剤治療の診察予約をしてもらってありましたが、消化器内科の診察はキャンセルしてもらいました。あとは3か月ごとに検査と診察で経過をみていくことになります。
次回は血液検査と診察で12月1日の予約です。
診察もさくっと終わって13時半なので診察約1時間でした。
生命保険とがん保険の請求のための診断書を受付で依頼しました。できあがるまで2~3週間かかるそうです。そして会計をして終了です。今回の支払いはなんと220円でした。
結果がでてすっきりしたので、売店でヨーグルトドリンクとパンを1つ買って食べながら帰りました。
帰りの車で家で待っている母親に結果を電話連絡し、親戚の叔父にラインで結果を伝え「よかったな」とのありがたいお言葉をいただきました。
これで制約はほぼとけて、徐々に体をならしていくだけです。今のところ少し食べすぎたりすると下痢してしまいます。油ものや肉、きのこや海藻類も控えています。ですから食事は1~2か月かけて制限していた食材をすこしずつもどして食べられるものを増やしていきます。とはいえ、食べすぎや油もの、繊維質の取りすぎには要注意です。運動も解禁ですが、腹筋を使うことは2か月間は控えめに、さらにひねりを加えるような力が加わるゴルフのような運動は最低6か月は自粛とします。とはいえ積極的に腹筋を使うようなものでなければそれほど神経質にならなくてもよさそうです。日常生活には問題ありません。
今回の手術で81キロあった体重は77キロと4キロほど体重が落ちました。そのおかげで顔もしまって細くなりました。そして腹の肉もだいぶ減りました。できればあと2キロほど落として75キロでキープしたいと思います。お腹ももう少し引き締めたいので腹筋運動もしたいのですが、切った影響もあるのでしばらくは我慢。そしてその間太らないように維持しておきたいと思います。
なにはともあれ、病気ではあるけれどそれでも比較的早い段階で発見でき、治療が完了できたことはラッキーでした。入院時にとなりにいたおじいさんは2か月前の健康診断ではなにも問題がなかったのに腸閉塞で緊急手術してストーマ生活になってしまったそうです。そこまでひどい状態でも健康診断ではなにもでないこともあるので、健康診断で発見できたのは本当にラッキーです。
いい機会なので健康にはもう少し気を配って健康的な生活を心がけたいと思います。